先進医療と保険収載

● ミニマム創内視鏡下手術は、2006年に先進医療に認定され、2008年に保険収載となりました。先進医療名は内視鏡下小切開手術となり、保険名は腹腔鏡下小切開手術となりました。

● 現在、下記の5手術が保険適応となっており、4手術(膀胱腫瘍、後腹膜腫瘍、リンパ節腫瘍に対する手術)が先進医療となっています。


● 保険収載された全ての手術に表の施設基準が設定されています。





日本泌尿器科学会のホームページ(http://www.urol.or.jp/)に掲載された、本手術関連の記事をそのまま掲載します。

保険診療としての腹腔鏡下小切開手術(ミニマム創内視鏡下手術)の注意点

皆様も既にご承知の事と存じますが、ミニマム創内視鏡下手術は平成20年4月の保険改訂に際し腹腔鏡下小切開手術として保険収載されております。
本稿では腹腔鏡下小切開手術の施設認定を受けるまで、および保険請求上の注意点を解説致します。
なお、本稿では本術式の名称を、先進医療認定以前(平成18年7月31日まで)はミニマム創内視鏡下手術、先進医療の期間(平成18年8月から平成20年3月まで)は内視鏡下小切開手術、保険収載後(平成20年4月以降)は腹腔鏡下小切開手術と表記しております。

腹腔鏡下小切開手術

 K754-3

 腹腔鏡下小切開副腎摘除術  36,000点
 K769-3  腹腔鏡下小切開腎部分切除術  33,000点
 K772-3  腹腔鏡下小切開腎摘除術  37,100点
 K773-3  腹腔鏡下小切開腎(尿管)悪性腫瘍手術  47,300点
 K843-3  腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術  50,300点

保険診療として腹腔鏡下小切開手術を行うためには、施設基準をクリアして地方厚生局に届け出を行い、施設認定を受けなければなりません。

腹腔鏡下小切開手術の施設基準

1 泌尿器科を標榜している病院であること。
2 腹腔鏡下腎摘出術,腹腔鏡下小切開腎摘出術,腹腔鏡下副腎摘出術,腹腔鏡下
  小切開副腎摘出術,腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術,腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍
  手術,腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術又は腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術を,
  術者として,合わせて20例以上実施した経験を有する常勤の泌尿器科医が
  2名以上配置されていること。
3 当該手術に習熟した医師の指導の下に,当該手術を術者として10例以上実施
  した経験を有する常勤の泌尿器科の医師が1名以上配置されていること。
4 当該保健医療機関において当該手術が10例以上実施されていること。
5 関係学会から示されている指針に基づき適切に実施されていること。

1. 施設基準に関する解釈上の問題点
施設基準の項目3および4における「当該手術」を、それぞれの腹腔鏡下小切開手術毎と解釈するのか、腹腔鏡下小切開手術全体と解釈するのかと言う問題ですが、関東信越地方厚生局に問い合わせたところ、厚生労働省の見解として「小切開手術の施設基準に係わる届出書添付書類(様式68)には腹腔鏡下小切開泌尿器手術とあり、欄外に腹腔鏡下小切開泌尿器手術とは腹腔鏡下小切開副腎摘出術・腹腔鏡下小切開腎部分切除術・腹腔鏡下小切開腎摘出術・腹腔鏡下小切開腎(尿管)悪性腫瘍手術・腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術のことをいうと注記がある。よって、項目3および4は、これらの手術を併せて10例以上と理解する。」との口頭による返答を得ております。これは、保険収載された腹腔鏡下小切開手術の合計が10例以上あれば、全ての腹腔鏡下小切開手術の施設基準を満たすということになります。
たとえば、腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術のみ10例以上行った施設でも、腎や副腎に関する施設基準も申請可能と言うことです。

2. 施設基準を満たすまでの費用的問題
現在、施設基準を満たしていない医療機関が腹腔鏡下小切開手術の施設認定を受けるまでの最大の問題点は、施設基準に掲げられた症例数をいかにしてクリアするかであり、この過程におけるコスト面での取り扱いが問題になります。
1. 先進医療となる以前の症例(平成18年7月31日以前に行われた症例)
 ミニマム創内視鏡下手術は開放手術の改善手技という解釈(厚生労働省の口頭承諾に
 基づいています)から、開放手術で保険請求されていた時期があります。この時期に
 行われた腎・副腎・前立腺ミニマム創内視鏡下手術は、開放手術で請求していても
 腹腔鏡下小切開手術として施設基準の症例数に数えることができます。
 ただし、通常の開放手術とは異なりミニマム創内視鏡下手術で行ったことが診療録
 に記載されている症例でなければなりません。
2. 平成18年8月から平成20年3月までの症例
 先進医療として認可された平成18年8月以降は、内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術は
 法的には開放手術とは異なる手術手技と位置付けられ、開放手術として保険請求
 することは出来なくなっています。先進医療の施設基準を満たすために、患者に
 インフォームドコンセントを行い、診療報酬請求をせずに施行された内視鏡下
 小切開泌尿器腫瘍手術は症例数に数えることができます。しかし、診療報酬上は
 開放手術として請求し、医学的には腹腔鏡下小切開手術として施設基準の症例数
 に数えることはできません。
 先進医療の施設認定を受けていた医療機関では、先進医療として行った内視鏡下
 小切開泌尿器腫瘍手術は症例数に数えることができます。
3. 平成20年4月以降の症例
 施設基準を満たすまでは、診療報酬請求はできず病院負担となります。施設基準を
 満たした時点で速やかに地方厚生局に届け出てください。認可を受けた後は通常の
 保険診療となります。

3. 保険請求上の問題
腹腔鏡下小切開手術の施設認定をとった後は、通常の保険診療として診療報酬請求を行って下さい。
なお、何らかの理由によりやむを得ず腹腔鏡手術から腹腔鏡下小切開手術(ミニマム創内視鏡下手術)に近い手術に移行した場合には、腹腔鏡手術で請求することが妥当です。腹腔鏡下小切開手術の定義は「内視鏡を使用し、ガスレス、ポートレス、手が挿入できない単一小切開創(ミニマム創)」であり、腹腔鏡手術で開始された時点で腹腔鏡下小切開手術ではないためです。現在は腹腔鏡手術よりも腹腔鏡下小切開手術の方が保険点数は高いですが、腹腔鏡下小切開手術として請求すると誤請求となります。

(2009年7月30日)



腹腔鏡下小切開手術施設基準の解釈について

保険委員会

内視鏡下小切開手術は、先進医療として取り扱われていましたが、名称が腹腔鏡下小切開手術として5術式が本年4月より診療報酬点数表に収載されました。また、施設基準も設けられていますが、記載内容の解釈に混乱がありますので、解説を試みます。

 1)腹腔鏡下小切開手術とは、従来の腹腔鏡下手術とは異なり、
   気腹ガスおよびポートを使用しない手術を指しています。

 2)施設基準に設けられている「腹腔鏡下手術を合わせて20例以上実施した
   経験を有する常勤の泌尿器科医師2名以上配置されていること」ここでの
   下線の手術とは、腹腔鏡下小切開手術を含むものです。  この点は、
   4月27日当局に確認いたしました。

この件で施設申請を行うときは、ここに掲げた解釈の文を同時に社会保険事務局へ提出してください。

(2008年6月3日)


腹腔鏡下小切開手術(内視鏡下小切開手術)の概要(定義)

 平成20年4月1日より保険適応となる腹腔鏡下小切開手術(先進医療名:内視鏡下
小切開手術)についてお知らせ致します。

1)保険収載された手術名は下記の通りです。

    腹腔鏡下小切開副腎摘出術
    腹腔鏡下小切開腎摘出術
    腹腔鏡下小切開腎部分切除術
    腹腔鏡下小切開腎(尿管)悪性腫瘍手術
    腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術

2)腹腔鏡下小切開手術の概要(定義)は、下記の通りです。

  腹腔鏡下小切開手術とは、「ミニマム創内視鏡下泌尿器手術」として先進医療に
 申請され、「内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術」として先進医療に認定された手術
 を指しています。
  厚生労働省が提示している「内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術」に関する「先進
 医療の概要」は下記の通りです。
 http://www-bm.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html
 (平成20年3月現在)

 (1)小切開(ミニマム創)で行う。
 (2)内視鏡を用いる。
 (3)炭酸ガスを使用しない。
 (4)原則として腹膜を損傷しない。
 (5)トロカーポートを用いない。

 腹腔鏡下小切開手術は、上記の条件を満たす手術を指しています。

3)本手術には施設基準が設定されています。
 下記の厚生労働省のホームページに掲載されていますので、十分ご留意下さい。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1k.pdf

日本泌尿器科学会
ミニマム創内視鏡下泌尿器手術研究会

(2008年3月27日)


内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術についてのお知らせ

  内視鏡下小切開(ミニマム創)泌尿器腫瘍手術における「先進医療の新たな適応」および「保険導入(予定)」についてお知らせ致します(平成20年2月現在)。

1 先進医療の新たな適応について

 平成20年2月1日より、内視鏡下小切開(ミニマム創)泌尿器腫瘍手術は、膀胱腫瘍、尿管腫瘍、後腹膜腫瘍、精巣癌の転移性後腹膜リンパ節腫瘍、泌尿器癌の転移性骨盤リンパ節腫瘍が先進医療(新規技術)の適応となりました。
 これまでの腎腫瘍、前立腺癌、副腎腫瘍の3疾患に加えて、上記の5疾患に対する本手術が先進医療(新規技術)として認定されました。

注意:
● 上記手術を先進医療として行うには、各地区の社会保険事務局へ届けて
  施設認定を受ける必要があります。
● 施設認定を受けずに、今回新しく先進医療と認められた5疾患の手術を、
  従来の開放手術で保険請求すると「代替請求」と見なされ、返還命令が
  なされますのでご注意ください。
● 以前より先進医療に認定されていた上記3疾患については、平成20年
  4月1日をもって保険収載される予定です。保険請求のためには、
  施設基準を満たす必要があります。

2  保険導入(予定)について

 内視鏡下小切開(ミニマム創)泌尿器腫瘍手術は、腎腫瘍、前立腺癌、副腎腫瘍に対して平成20年4月1日より保険導入されることが、厚生労働省先進医療専門家会議および中央社会保険医療協議会で決定されました。ただし、まだ予定であり最終決定ではありません(2月8日現在)。保険導入が最終決定された場合には、保険請求のための施設基準が設定される予定です。施設基準および点数等が決まりましたら、改めて広報致します。
 なお、今回先進医療の新たな適応となった上記の5疾患については、平成20年4月以降も先進医療のままです。

3 技術認定について(予報)

 現在、内視鏡下小切開(ミニマム創)泌尿器腫瘍手術の技術認定について、検討が行われています。

*:厚生労働省のホームページ「先進医療の各技術の概要」http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html において、本手術の「小切開」については、「小切開(ミニマム創)」と説明されています。

平成20年2月8日

ミニマム創内視鏡下泌尿器手術研究会
日本泌尿器科学会


急告

内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術(先進医療認定手術)
を施行している施設へ

 上記手術を行い先進医療申請の要件を満たした施設は、至急「最寄りの社会保険事務局」に「先進医療の申請」を行って下さい。

● 本年7月末、某病院に対して厚生労働省から次のような強い指導がありました。

「先進医療に認定された内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術を、先進医療の申請をせずに、漫然と開放手術として保険請求をすることは、規則上は<代替請求>と見なされ、大きな問題である。このままでは規則違反として<自主返還>の対象とせざるを得ない。」

補足:
 ○ 先進医療申請の要件(3年以上の経験、5例以上の症例数など)は
厚生労働省のホームページ(先進医療)に掲載されています。
 ○ 本手術は先進医療に認定されていますが、保険収載はまだされていません。

先進医療(既評価)申請について:
 ○ 申請様式は、厚生労働省のホームページ(先進医療)からダウンロードできます。
 ○ 2007年8月3日現在、先進医療認定施設は下記の通りです。
    東京医科歯科大学附属病院
    東北大学病院
    弘前大学附属病院
    青森県立中央病院
    香川大学附属病院
    横浜市立大学附属病院
    愛媛県立中央病院
    豊橋市民病院
    金沢大学附属病院

(2007年8月15日)


内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術における
「小切開」の定義について

 このたび、副腎腫瘍、腎腫瘍、前立腺癌に対する内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術が先進医療に認定されました(平成18年7月31日告示)
 泌尿器科領域において初めての先進医療認定ですが、この手術における「小切開」の定義は以下のようです(日本泌尿器科学会、ミニマム創内視鏡下泌尿器手術研究会)。

内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術における小切開の定義:
 ● 手が挿入できない切開をいう。
 ● 手より大きい対象臓器の場合には、対象臓器程度の切開をいう。

付記)本手術は、内視鏡を用い、ガスを用いず、基本的に手で創内操作をせずに、
   行なうものである。

(2006年9月20日)